・消費者(主として子供)の選択肢が増えたことは喜ばしいが、製造会社は一般玩具の範疇として、カプセル玩具を捉えたことに大きな誤りがあり、今日の流通システムは特に価格面でオペレーターの販売システムと大きな乖離を生んでいる。

業界の現状を考察しあえて問題点をえぐる
★ その源流は★
・アメリカ生まれのカプセル自販機(Bulk Vendor=バラ売り機械の意味)は、誕生以来すでに半世紀の歴史をもつ。
子ども連れの親が買い物に来て、子供が店内で騒ぎまわるので、ワン・コインを与えてカプセル自販機で遊ばせることが誕生のもとと聞いている。つまり(Shut
up toys)と言われた理由はここにある。
だから、毎日の買い物で主婦が子供の為に捨てるような小銭でなくてはならない。アメリカではかって1セントが主流であったことでもうなずける。
・現在、ホームページでアメリカの現状などを検索しても、ホールセールショップジョッブ・アイテム(卸業者商品群)は我が国のようなキャラクター的商品は少ない。
国民性もあるが、ガムや雑玩具が主体であり、10、25セントとかってより単価の上昇は見られるが基本的商品構成は変わっていない。
★我が国のカプセル自販機★
・当社ペニイが本邦で初めて試みたのはまさに米国方式のそれであった。1965年から三年間は10円玩具が主体で、設置先も今のように大型スーパーやコンビニもなく、文房具屋や駄菓子屋が主体であったことは前述した。20円にジャンプしたのは、1973年のオイルショックでプラスチック原料が高騰した影響である。
1970年代に入り、大手の玩具会社が参入してきた。当初は中身商品を自販機用に開発し、オペレーターへ供給していたが、大量生産の影響や予想以上の売上を見て、独自の販売部門をもつようになった。また、好調な売れ行きに色気が出て直営事業に踏み切ったケースもある。幸か不幸か当時テレビ人気キャラクターが玩具の主流に踊り出て、カプセル販売に拍車がかかり、Shut
up toys!の性格が大きく変貌した。

★儲からないオペレーター★
・前述したが、オペレーターの仕入価格について考えてみよう。
流通経路にもよるが、100円売りが約50円の仕入原価である。さらに、地方までの運賃がコストを引き上げる。
ロケーション先への手数料は平均30%、ごく特異のケースで35%と言うべラボーな自縛的数字を提供している泡沫業者もいる。
ともあれ、単純に粗利益20%。経費は38年前から比べ数倍に上昇している事実。加えて消費税が内税処理であること等を勘案すると、薄利多売しかないのが現状である。しかし最良設置先であった大型SCは競合激化で以前ような勢いがない。頼みの綱も時代の変革には勝てないようだ。
・この手の商売は、足の速いものは時間単位て売り切れるが不人気商品は半年経っても在庫で、以前なら特価目玉商品を混ぜて売れたものだが、今日は資産計上もできない不良在庫で廃棄される。仮に1割の売れ残りがあれば、儲けがないとみるべきだろう。
200円売り商品にしても同様の仕入価格である。筆者は200円売りの仕入価格は70円と主張してきているが、実現の可能性はない。繰り返すが、製造会社が一般玩具価格設定の5掛の概念から離れられない、石頭がそろっているからだ。
一般玩具の範疇で捉えれば製品価値の向上は飛躍的なものがある。キャラクターのフィギュアは、非常に精巧なできで、カプセル二世の大人にも人気がある。また消費者の購買意欲をそそる什器類の研究成果は十分認めるに足るが、開発費の償却が商品に上乗せされている事実は避け難いし、数ヶ月先のオプションにも閉口する。中国からの輸入品が圧倒的に多いので、輸入計画に困難さがあり、作る側の気持ちは理解できるが、目まぐるしい時代のニーズの変化、中央と地方の商品に対する温度差(購買力・TV放映範囲など)も考慮すると全国一斉販売は難しいといえる。
その点、デズニー関連、アクセサリー類等の不偏性のある定番が、売る側にとっては有り難い。開闢以来スーパーボールやマジック・スプリングなどは安定的な売上を維持している。しかし、ワンロケーションに数十台では、多品目が要求され、不良在庫が発生する原因がある。
★自販機の必要性を問う★
・以上のような経緯で変貌したカプセル玩具は果たして自販機で売る必要があるのだろうか。単独商品としてラック販売でも一向に支障はないように思われる。そうすればカプセルと云う限られた空間から解放され、より一層充実したものになることができよう。また05年から増税される消費税も外税として十分処理できるからである。
・ 200円から500円まで対応する機械が発売されたが、近時、それを上回る千円〜五千円紙幣の販売機が現れた。しかもマルチ商法モドキの販売方法だ。紙幣をどうやって選別するのか、メカの性能は不祥だが、カプセルに当り券を入れて販売するという。とうとう、狂気的ギャンブルマシンの出現である。
最早、カプセル販売の必要性は認められない。
消費税の吸収対策なら現在の200円を300円で売ることになるかもしれないが「帳尻あっても、消費者騙し、業界の将来を危うくするものである。消費税増税は近年間違い無く、実施されるだろうから、業界にとっては逆風でしかない。
・前述の当社創業に助言したMr.L.O.Hradmanは商売のコツを3つ上げている。
その1:母親に嫌われる商品を売るな。(今は母親だけではない、例えばの話)
その2:捨てる「銭=ゼニ」を集めるのが商売のこつ。
その3:高望みをしてはならない。(Midium
Happiness)拡大超過は経費増。
今でも鮮明に心に残るものである。
★原点に戻ること★
・設置先の量販店やコンビニにおいても、カプセル玩具の売上に敏感である。もっとも、一店舗で月間数十万円の売上があるところもあるからだ。しかし、本来の趣旨からいえば、Shut
up toysであるはずの言わば顧客に対するサービス・手段に売上を期待し、月間目標に組み込むこと自体が異常としか思えないのである。
小売業界は大小を問わず熾烈な競争の渦中に有り、スクラップ&ビルドが凄まじい。1円でも売上を取りたい気持ちは十分理解できるが、我々の商売にとっては豊作貧乏でしかない。
・当業界の乱立も激しい。そんなに美味しい商売にみえるのだろうか。やたらと手数料をアップして、突っ込んでくる。ただでさえ狭い設置場所の陣取り合戦である。結局は自分の首を絞める結果になってしまう。無理矢理突っ込んでろくなフォローもしないし、在庫一掃セールよろしく昔のカビの生えた商品を入れる始末。結果評判を落とし、昔から設置している真面目な業者までとばっちりをうける。設置先の担当者も不勉強この上もなく、どの機械が何処のオペレーターのものか皆目理解できず、1番古い業者(残念ながらペニイであります)にとばっちり。さほどの経験がなくても安易に参入できるこの商売は、何方が言った明言「アラブの蝿」をおもいだす。ことほと左様に最悪は全業者撤去のお達しでチョン。
訪米当時の話では、ワン・ロケイション、一業者が守られていた。だから、設置先のルートが売買され、資産価値があるとのことだった。独占禁止法に触れるような問題ではないと思う。機械一式が顧客に対する一種のサービス商品であり、設置先も諒解している問題だからだと思う。
また設置先は売上に目くじらなど立てない。
集金方法も、売上金全額を自社に持ちかえり、手数料は後日チェックで渡すか、銀行振込で済む。
手数料についても、年間固定金額を決めている場合もある。
我国の様子と、米国の「おおらかさ」と比較にならないのは伝統がものをいっているのかもしれない。
・ちなみに我が社の発足当初、10円玩具の仕入(輸入:C&F)コストはin
capsuleで1円80銭から2円30銭と記憶している。設置先手数料15%、勿論消費税はない。それでも、機械の輸入支払や諸経費増で資金繰りは楽でなかった。
サービス員にサービスカーを持たせ、渋滞の中を抵単価の商品を運ぶ方式も限界にきているのではなかろうか。故障、品切れ等の緊急フォローで予定がたたないし、2日も遅れれば担当者から、目玉を食らうしまつ。おそらく、フォローを経験していれば共通の問題ではなかろうか。
・ 当然のことだが競争原理は商売を活性化させ、顧客により良い商品を提供する。しかし、暴利をむさぼる行為は不当であるとしても、適正な利潤の確保は商業道徳に叶うものである。
・江戸後期の農政学者、二宮尊徳は「およそあきないとは、売り手喜び、買い手喜ぶを旨とすべし。売り手喜ばず、買い手喜ばざれば商にあらず。」と、売り手、買い手の対等性を教示している。
メーカー、問屋、オペレーターは協調して商品構成、フォローのやり方をこの変革の時代にいかに適応させるか、原点に立ちかえり真剣に取り組むことが望まれる。
